海の磯焼け問題@長崎県壱岐

去年から番組でリサーチを始めた「海の磯焼け問題」。
この「磯焼け」とは、沿岸部の海底や岩に海藻が全く生えなくなる現象のこと。
別名「海の砂漠化現象」とも言われています。
しかも、東北から九州までの沿岸部で、この現象が広がっていて、
1973年以降20年間で1万ヘクタールも減少しているといいます。
なかでも九州は特にひどく、鹿児島や長崎でも、磯焼けが加速度的に進行しているんです。
そこで先月、長崎県の壱岐市、いき・ごうのうら漁協水産センターで行われた
長崎県沿岸部における「磯焼け現状報告会」をリサーチしてきました。
今回は特に、海藻を集団で食べて磯焼けを加速させている、
植食性魚類、なかでも食用として定着していない「イスズミ」について。


集団で海藻を食べつくす 主な「植食性魚類」は
「イスズミ」「アイゴ」「ブダイ」「ニザダイ」など。
そのなかでも「イスズミ」は、特に匂いが強く、
値がつかず、市場に並ばないため、漁師さんは収穫しても海に帰してしまうんです。
実際、大きくなった「イスズミ」には、人間以外の天敵がおらず、
集団でゆうゆうと海藻を食べつくしています。
では、どうすれば「イスズミ」から藻場を守ることができるのか。
一番コストをかけずに「イスズミ」を減らす方法が、食用としての利用
「イスズミをたべること」。
東京の八丈島では「イスズミ」を「いそだい」と名前を付け、加工販売を行っています。
一匹当たり1200円という高値で販売されているそうです。
また、世界自然遺産に指定された「小笠原諸島」では、
「イスズミ」を酢漬けにした「ピーマカ」という郷土料理があります。
そして、日高水産加工が開発した「イスズミのさつまあげ」は、
臭みがなく、白身の淡白な味わいと「もちもち」した食感で注目を集めています。
そう、「イスズミ」は加工次第で、美味しくなるんです。
磯焼けを加速させている原因の一つが、海藻を食べつくす植食性魚類の存在。
「イスズミ」「アイゴ」「ブダイ」など魚の他にも、海藻を食べつくす海の生き物がいます。
「ムラサキウニ」は、海藻を食べ、藻場を減少させます。
「ガンガゼウニ」は、岩についた海藻や、海藻の種まで食べてしまうので、
その一帯では海藻が生えなくなってしまうんです。
そこで長崎県平戸市では、磯焼けを加速させる植食性魚類を使った料理が開発されました。
平戸市が作った、その名も「磯焼け丼」。
材料は「イスズミ」「アイゴ」「ガンガゼウニ」。
「イスズミ」はよく洗って刺身に。
「アイゴ」は皮の表面をあぶり、氷水で冷やしてから刺身にする。
丼ごはんに盛り付け、刻み海苔、ネギ、カイワレ大根、シソの葉を乗せ、
そこに「ガンガゼウニ」を乗せて、わさび醤油をかけて出来上がり。
「イスズミ」を「漬け」にしても美味しいそうです。
海の厄介者「イスズミ」には、どんな有用成分が含まれているのか。
検証した結果、低カロリーで、脂質が少ない「ヘルシー食材」であることがわかりました。
さらに「成長ホルモン」の分泌を促すといわれる「アルギニン」含有量が、
「まだい」の37倍。
免疫機能向上に関係するといわれている「オルニチン」は、
「まだい」の3倍も含まれていることがわかりました。
こういった有用成分のさらなる分析と有効活用が進めば、
「美味しく食べる磯焼け対策」とともに、新たな利用につながり、
磯焼けを止めることができるかもしれません。
ベントスの南里さんは、イスズミの生態調査はもちろん、どうすれば上手くとらえることができて、有効利用することができるのか、実際に海にもぐって調査を行っています。
南里さんによると、イスズミは「イスズミ」「ノトイスズミ」「ミナミイスズミ」「デンジクイサキ」の4種に分かれているそうです。
長崎や鹿児島では、30〜40cmの「ノトイスズミ」が集団で藻場を荒らしています。
磯釣りでは、引きが強く、型もいいので、釣り人を楽しませてくれる大物なんですが、
強烈な匂いのために、釣った後、生きたまま海にかえしてしまうそうです。
イスズミがここまで食害を広げている理由の一つが、イスズミに天敵がいないこと。
イカやタコでさえ敵ではなく、強烈な匂いのために、人間もとってくれない。
とったとしても、生きたまま海に帰し、大きいもので50cm以上にまで成長するといいます。
海の中に天敵がいない。唯一天敵になりうる人間さえ、見向きもしない。
これこそが、イスズミが磯焼けを加速させている原因なんです。
鹿児島県の漁協全体による漁獲量調査によると、イスズミは5月から8月、
特に7月が一番多く、気温の下がる11月頃まで まとまった量が取れるそうです。
ようするに、真冬の3か月以外は、海藻の芽から茎まで、集団で食べまくっていることになるんです。
長崎はもちろん、鹿児島でもよく見かけるイスズミは 大半が「ノトイスズミ」だといいます。この「ノトイスズミ」はほかのイスズミに比べ、匂いが少なく、美味しいんです。
それこそ、「きも」や「しらこ」をそのまま食べても、匂いがほとんど気にならずに美味しく食べることができるそうです。
料理に使うなら、この「ノトイスズミ」が一番使いやすいようです。
私たちが「イスズミ」をはじめとする植食性魚類を食べることで、
海の中の生態バランスを整え、磯で生きる「アワビ」や「サザエ」「イカ」などが暮らしやすくなる。
「美味しく食べる磯焼け対策」とは、日本の沿岸漁業を応援することにもつながるんです。

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