鹿児島土産話part.2「鹿児島が誇る焼酎文化」

鹿児島市堀江町に店を構える「宝納酒店」店主・若松たかおさん。
焼酎だけではなく、あらゆるお酒に精通し
「日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会・九州支部長」、
「焼酎アドバイザー」認定資格セミナー専任講師を務める、お酒のプロフェッショナル。


今回は鹿児島が誇る焼酎文化を教えてもらいました。
国税庁2009年のデータによると、焼酎の年間消費量 第1位は鹿児島。
一人当たり年間27.5リットルを飲み干しているそうです。
この数字は、全国平均のおよそ3倍。
第2位は宮崎の22.6リットル。
ちなみに蔵元、メーカーの数は、宮崎が38社。
鹿児島はなんと 113社に上ります。
明治30年頃の鹿児島には、大小合わせて3200軒もの焼酎蔵が存在していたといいます。
総務省の発表によると鹿児島県下の全てのコンビニの数は、平成22年で541店舗。
現在のコンビニ数の6倍もの蔵元が、鹿児島に存在していたことになるんです。
3200件から見ると、現在113社にまで少なくなった鹿児島の蔵元。
それでもこの数は群を抜いています。
昭和40年頃まで、鹿児島の芋焼酎はとても「芋臭い」のが特徴でした。
飲んだ次の日は、数m離れていても身体から臭いが漂っていたといいます。
それは今のように、原料の「さつまいも」の保存環境が整っていなかったことや、
蒸留技術のレベルが蔵元ごとに差があったからだといいます。
しかし、昭和40年代を境に、鹿児島の焼酎造りのレベルが格段に向上していきます。
「さつまいも」の「品質保存管理」の徹底、「蒸留技術研究」のさらなる前進が、
現在の香り豊かで、後味すっきりな、鹿児島の本格芋焼酎を生みだすことに
つながっているんです。
もしこの先、食糧難の時代がやってきたとしても、
台風や旱魃にも強い「さつまいも」原料の芋焼酎は生き残るだろうといわれています。
しかも芋焼酎は「ロック」「水割り」「お湯割り」でもOK。
割合も6対4でも7対3でも、その深い味わいが損なわれることはありません。
さらに直射日光を防ぎ、正しく保存すれば原則として芋焼酎には賞味期限がありません。
長期保存ができるお酒なんです。
そういう意味でも、焼酎は庶民のお酒として、これからも生き残る可能性があるんです
琉球から鹿児島に「唐芋」が伝わったのが、今から300年ほど前の1705年。
山川町の漁師「前田利衛門」が、唐芋とその育て方を学んで山川町に広めたのが
「鹿児島さつまいも伝来」の始まりだといわれています。
鹿児島本土は一年を通して気温も湿度も高く、作物が傷みやすい。
その上、鹿児島のシラス大地は水はけが良すぎるため、当時は稲作が難しく、
台風も数多く上陸し、畑の作物をなぎ倒していく。
そんな時「利衛門」が持ち帰った「唐芋」は、鹿児島の痩せた土地でも収穫できる
優れた作物として、鹿児島全体に広がったといいます。
やがて唐芋が主食になっていた鹿児島では、日本を襲った数々の大飢饉を乗り越えます。
そして日本中に普及していく時、「さつまいも」と呼ばれるようになりました。
鹿児島とさつまいも、そして芋焼酎には、鹿児島の人々の営みと歴史が刻まれているんです
お酒造りの元となる「麹菌」を、「蒸したお米」に繁殖させた「米麹」。
焼酎には、黒麹、白麹、黄麹の3種類があります。
その色分けは、菌の胞子の色から連想されています。
麹菌の種類によって作業工程も変わり、麹の種類によって焼酎の味わいも大きく違います。
鹿児島の焼酎造りも、昔は日本酒と同じ「黄麹」を使っていました。
しかし、南国鹿児島の暑さから、黄麹での焼酎造りはとても難しく、
次第に淘汰されていきました。
明治時代後期。熊本税務監査局・鹿児島工業試験場の指導員だった「川内源一郎」。
当時主流だった「黄麹」による焼酎造り。
気温の高い鹿児島には適していないことに気付き、
鹿児島よりさらに高温多湿な沖縄で「泡盛」が腐敗しないことを思いつき、
「泡盛」由来の麹菌を3年かけて培養。
焼酎作りに最適な「川内黒麹菌」を作り出します。
ここから日本の焼酎文化が始まったともいわれています。
しかし、本当に劇的な成長を遂げるのは、「川内源一郎」のさらなる研究から始まります。
1924年、顕微鏡で黒麹菌を覗いていた川内は、中に白みがかったカビを発見。
取り出して培養すると自身が生み出した「川内黒麹菌」より性能が安定し、
これを使うと焼酎の品質も一段と向上することを突き止めます。
これを「川内白麹菌」と名づけ、学界に発表。
しかし当時の鹿児島では、くしくも川内が培養に成功した
「川内黒麹菌」に切り換え、焼酎製造の安定操業が可能になり、
新しく開発した「川内白麹菌」はなかなか浸透しなかったといいます。
そこで川内は大蔵省を46歳で辞めて、1931年、鹿児島市清水町に
「麹菌」を製造販売する「河内源一郎商店」を創業。
「各種焼酎用種麹」の研究を続けることになります。
そこから、九州全土、また全国へ評判が広がり、
現在、日本の本格焼酎の9割近くが「川内白麹菌」を使い、
さらに海を渡り、おとなり韓国の焼酎の大半も
「川内白麹菌」で生産されるまでになりました。
鹿児島の焼酎業界躍進の最大の要因は、各蔵元が実に研究熱心で、
故きをたずね新しきを知る「温故知新」の精神で
焼酎作り一筋に邁進しているからだといいます。
これからも、ふくいくとした豊かな香りと、幸せな味わいを併せ持つ
鹿児島の本格芋焼酎を味わっていきたいですね。

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