もうすぐ「子供の日」「端午の節句」がやってきます。
全国的に「子供の日」に出されるお菓子というと、笹の葉で包んだ「ちまき」と、
柏の葉でくるんだ「柏餅」が一般的です。
でも、鹿児島では「ちまき」や「柏餅」ではなく、
「あく巻き」や「かからん団子」「さねん団子」を作るんです。
そこで今回のテーマは、「子供の日」直前企画「鹿児島郷土菓子あくまき」作りをリサーチ。


「あく巻き」を作り続けて40有余年。
鹿児島食文化研究会「近藤つよし」会長。

お母さんから受け継いだ「故郷の味」を今でも守り続けています。
「飴色」で「もちもち」したゼリー状の「あく巻き」。
ちょっとクセのある独特の味わい。とても香ばしく、香り豊かなふるさとの味。
砂糖や「きなこ」を付けて食べると、さらにおいしく頂けます。

南九州独特の郷土の節句菓子「あくまき」。
「あくじる」に使う「木灰(もくはい)」は、硬い「樫の木」などの「木灰」を使います。
もち米を「強アルカリ」の「あく汁」で煮ることで、澱粉が「糊化」して、
「飴いろ」になるそうです。

薩摩藩が秀吉の「朝鮮出兵」や「関ヶ原の戦い」の際、
他国の軍勢は「干し飯」などの「兵糧」が尽きる中、
薩摩の軍勢は、保存性と食べやすさに優れた「あく巻き」で腹を満たし戦ったといわれています。
また「西南戦争」にも「西郷隆盛」が保存食として持参した記録が残っていて、
これを機会に薩摩藩以外、宮崎県北部や熊本県にも広く普及することになったようです。

そもそも「あく巻き」のルーツは、中国から日本に伝来した「粽(ちまき)」にあるといいます。
伝来当時の形が、今でも南九州に受け継がれているんです。

ちなみに、山形県の庄内地方にある「笹巻き」は、鹿児島の「あく巻き」が
江戸時代に薩摩藩から「北前船」で伝えられたものだといわれています。
この「笹巻き」は「竹の皮」ではなく「笹の葉」で巻き、「あく」に使う木灰には、
「楢の木」や「柿の木」「藁の灰」などを使うのが特徴です。

「あく巻き」の材料(5本くらい)。
もち米1kg、竹の皮5・6枚、樫の木のもくはい400g、熱湯8カップです。
近藤家では、あくまき専用に大きな「寸胴」を特注したそうです。

毎年この時期になると、「竹の皮」「もくはい」「もちごめ」といった「あくまき」の材料が
スーパーの食品コーナーに並んでいる鹿児島。
なかには、煮るための大なべも一緒に売っているところもあるんです。

まず「竹の皮」を1日前から水に漬けこみ、やわらかくなるまで戻しておきます。
次に「あく汁」作り。
ボールの上にザルをおき、木綿や「さらし」を敷いてその上に「木灰」をおき、静かに熱湯をかけていきます。
一滴一滴コーヒーのように滴る「あく汁」をボールに溜めていきます。
もう一度新しいさらしで漉すときれいに仕上がるようです。

続いて「餅米」を洗いざるにあげて水を切り、先ほど作った「あく汁」に一晩付けておきます。
当日、黄色くなったもち米をザルにあげます。使った「あくじる」は捨てずにとっておきましょう。
次は、一晩水に漬けて柔らかくなった「竹の皮」の両端を切り、形を整えます。
5mm幅くらいに竹の皮を2本裂いて、縛る紐にします。
広げた「竹の皮」に、「もち米」を「お茶碗山盛り1杯」入れます。皮をたたんで、3か所紐で縛ります。

いよいよ大鍋で茹でていきます。
大きな鍋に水と、もち米を浸けておいたあく汁も加えて、「あく巻き」が湯の中で泳ぐくらいにしておきます。
蓋をして3時間以上強火で煮続けるんです。途中で15分おきに、沸騰した鍋に差し水をします。
煮えたら熱いうちに水でさっと洗ってザルに取って、お湯を切って、できあがり。
そのまま保存するなら、熱いうちにラップでくるんでおきましょう。

冷えるとすぐに硬くなる「お餅」に比べて、冷めてもプルプルと柔らかい「あくまき」は
常温で食べるのが一般的。冷蔵庫に入れて、冷えて硬くなっても、
軽く温めると柔らかさが復活し、みともちプルプルの食感がかえってきます。

あくまき専用の「ずんどう」を特注し、「あくまき」専用の「もちごめ」を、
有機無農薬で特別に作ってもらっているという近藤会長。
年に一度の「あくまき」づくりに対する強い思いがあふれています。